遺跡で稼ごう
2011年07月
鼻歌交じりに雑魚を蹴散らし、険しい渓谷を飛び越え、獣道すらない樹海を進んでいく。 　頭上に生い茂る葉の合間からおそらく中天に達しただろう日の光がこぼれ落ちてきたころ、ようやく目的地に到達する。 　古木の間に埋もれるようにしてある、しっかりとした石造りの遺跡だ。 　入り口には前回訪れた際の足跡しか残っていないにも関わらず、遺跡の中からはかすかな気配が感じられた。 　慎重かつ大胆に足を踏み入れて奥へ進むと、待ち伏せのつもりか物陰から不定形のアヤカシが襲いかかってくる。 　大量の瘴気で形をなしたのか、動きは鋭く、形を得た爪は非常に鋭い。 　しかし通い慣れた遺跡で不意打ちにひっかかるほど鈍くはない。 　体内の練力を活性化させ、爪が届くよりも早くアヤカシの中核を撃ち抜く。 　悲鳴も残さずアヤカシの姿が崩れ、瘴気に戻りながら拡散し消えていく。 　後に残された小さな宝珠を回収すると、軽い足取りで遺跡を後にするのだった。