一時の静養
2011年09月
いい機会だった。 　自分も相棒も重傷を負ったのがきっかけ。 　医者に空気のいい場所で静養するように‥‥そう言われて、仲間には場所を告げず相棒と共に山小屋で静養を始めた。けれど余りにも居心地が良く、このまま過ごすのは悪くないと思い始めていた。 　しかし――夜明け前の事。 　何やら相棒の様子がおかしいと思い外へ飛び出せば、そこには一匹の大怪鳥。何処から現れたのか、敵は明らかにこちらに敵意を向けている。それを察して先制する相棒。けれど、ひらりとかわされて―― 「っ！！」 　それを前に身体は動いていた。開拓者の本能なのだろうか。 　近くにあった薪割り用の斧を構えて、間合いに入った所で振り下ろす。 　なんとか切伏せると、消えた大怪鳥の先には何か言いたげな相棒の姿がある。 　傷は感知している。静かな暮らしも悪くないが、定めなのかもしれない。 『よし戻ろう』 　その決意と同時にまた一つの夜が明ける‥‥。