≪応援メッセージ≫ リディエール(ib0241)
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●リディエール(ib0241)さんのミニノベル 寒い夜だった。 月明かりが降り積もった雪に反射する。 リディエール(ib0241)は雪をサンダルで踏みしめながら、目的の家に急ぐ。 街の中は何処もかしこも色取り取りに飾り付けられ、今日この日を祝っていた。 けれど目的の家は、しんと静まり返っていた。 幼い子供が病気なのだ。 リディエールが訪れると、母親が出迎える。 寝台に寝かされた幼子の手を、リディエールはそっと握りしめる。 彼女の身体が白く輝き、苦しげだった子供の顔に生気が戻る。 「もう、大丈夫ですよ」 彼女の言葉に、母親は子供を抱きしめて涙する。 そして必至に貯めたお金を差し出してくるが、リディエールはそれを断った。 「今日は、聖なる日ですから」 優しく微笑む彼女は、聖母のよう。 帰り道。 彼女はそっと、夜空を見上げて歌を紡ぐ。 幼い頃より口ずさんでいたそれは、賛美歌。 聖なる夜に、これ以上似合う歌はないだろう。 星が、きらきらと彼女を彩る。 青いローブを引き寄せ、リディエールは優しく、全てを包み込むかのように歌い続けた。 今日この日、全ての人々に幸せが訪れるように……。 【おわり】 (執筆:霜月零) |