●緑茂全図
![]() ■里の説明 理穴は中央部に位置する緑茂の里は、紙と唐辛子を主産物とする、大きさ2里ほどの集落群である。 天儀においては今やどこにでもある里のように、常にアヤカシの脅威に晒されながら、 日常をおくらなければならなかったが、里を見捨てて逃げるほどの被害は受けてはいなかった。 神楽の都に住む我々にとっては馴染みは薄いが、地域集合体としての性質は飛空船の開発や精霊門の整備、 なにより開拓者という共同体の創出によって徐々に薄れてきたものの、里とはそこに生活する人々にとっては生を受け、そして土に還る場所であり、一生を費やす場所であるとの認識は未だ根深い。 広大な天儀の大地には未だに移住可能な未開拓の土地は存在するが、 アヤカシの被害があるからといって、簡単に移住することなどはできない。 緑茂の里は地図の通り、海賀岳と海原岳という2つの山を蓄える。 東部からの攻めには磐石ともいえる天然の防壁を保持しており、 事実相次ぐ襲撃に対しても里長、鋳差(ジュサ)を筆頭に撃退を続けていた。 だが、ほかならぬその城壁たる海賀岳の一部が大アヤカシの力によって急速に魔の森に飲み込まれ、周囲のアヤカシの活動が活性化したことで状況は一変する。 これまで北部の砦を中心に守りを固めれば、組織的な攻撃はほぼ防げていた里は、東部にも兵を向けなければならなくなり、また大船原付近のアヤカシの活性化によって、満足に補給路も確保できない状況になった。 そして、その窮地に追い討ちをかけるように上級アヤカシ及び大アヤカシの活動が確認され、 群を成すが統率はされぬはずの敵が明確な‥‥里を飲み込むという意思を持って動き始める。 途切れることのない敵襲に、既に緑茂兵及び理穴兵は消耗していたが、 里の存亡を賭けた、逃げ場所のない戦いは幕をあけようとしていた。 (図:緑茂の地名一覧) |