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緑茂の戦い

■サイドストーリーとは

 サイドストーリーとは大規模のOP・リプレイなどでは描けない、
フェイズとフェイズの間幕、あるいは後日談を描いた小説形式の文章です。
NPCが基本的にメインとなりますが、状況に応じてリプレイの補完的な、開拓者が登場する小説も予定しております。
読まなくとも成否には特に関係ございませんが、より舵天照の世界を楽しんでいただくために、ぜひご閲覧ください。



■サイドストーリー2(石鏡の場合)


【石鏡】
 理穴での騒乱が終結を迎えるよりいささか時は遡り‥‥石鏡にある安須神宮、その一角にある部屋にて石鏡が国王の一人、布刀玉は外を眺めては物思いに耽っていた。
「‥‥‥」
「どうか、されましたか」
「いえ、戦場へ赴いている兵達は無事だろうかと」
「大きな被害はないと聞きますが、それでも多からず無傷ではないでしょう」
 その静かな佇まいに堪え切れなくなってか、側近の沙那が声を掛ければ静かな声音で応じる王に倣い、穏やかな口調で応じる彼女。
 しかし、その話を聞いても布刀玉は落ち着く筈もなくますます持って蒼い空から視線を逸らし、顔を俯ける。
「戦場へ赴かず、ただ此処で戦況を受けるだけ‥‥果たしてこの振る舞い、王として認められるものなのでしょうか?」
「確かに、戦場へ赴く王の方が多いのは事実ではありますが必ずしもそれが王の務めと言う訳では」
「ですが、見届けなければならない責任はあるかと」
 そして紡がれた、想いと行動のずれから来るもどかしい心中はしかし、素っ気無い側近の応対によって宥められるも‥‥だからこそ先よりも眼差しをきつくして言う布刀玉だったが、それは何時の間にか来た二人の来客によって遮られる。
「その問答はまだ、私達には早いんじゃないの?」
「‥‥決してそうだとは思わないけどな、香香背」
 果たして口を挟んだ主が香香背を前に、口調だけ普段の年相応の調子で応じるが自らの意志は未だ曲げず。
「まだ子供と言われてもしょうがないとは言え、それでも石鏡を束ねる王に僕達はなったんだ。子供だからとは言え、責任逃れは出来ないと思うよ」
「そうだけどね、でもそれぞれが出来る事には限りがあると思うのだけれど? 気持ちだけじゃ、何も出来ないわ」
 とは言えその点では香香背も負けず引かずに言えば、雰囲気こそ穏やかながらも互いの意地がぶつかり合うこの場、果たしてこの場を納めたのは香香背の側近が楠木玄氏。
「まぁ、この場は香香背様の言う通りでしょう。力こそ持ち合わせているとは言え、戦場へ立つ事はまだもう暫く控えて貰えればと」
「‥‥玄氏、貴様」
「そういきり立つな、沙那。別に布刀玉様の事を貶めている訳ではない。国王がお二人になってから日が浅く、まだ石鏡の内部全てが纏まり切っていない以上、下手に戦場へ赴く事は自ら危地に立つ事ともなる可能性がある事は考えて貰いたいな」
 安穏とした語り調子が尚更、沙那の気に障った様でやおら立ち上がり腰に佩く大降りの刀の柄に手を伸ばすが彼女を宥めては玄氏、全うな理由を皆の前に提示するとそれを受けて布刀玉。
「‥‥まぁ、そうですね。一先ず話を戻しましょうか。仔細は何時でも構いません、連絡があり次第報告して貰えればと。それと必要な支援は国を問わず、行なう様に配慮も忘れずに」
「心得ております」
 場にいる皆を見回して後、自嘲めいた笑みを浮かべつつも余談の許さない状況だからこそ、強い支援だけは行なう指示を出せば頭を垂れる沙那だったが
「‥‥嫌な風ね」
「そうだね。だけど石鏡とて何時、アヤカシの脅威に晒されるか分からない。だから」
「早く、纏め上げないとね」
 相変わらずマイペースに振舞い、窓辺に身を乗り出しては呟く香香背に頷き布刀玉も応じれば二人、決意を新たにする秋。
「‥‥そう言えば気が早いかもしれないけど、帰ってきた兵達や参加した開拓者をすぐにでも労える様、宴の準備位はしておこうかな? 勿論、決まった訳ではないから外部には悟られない様にしなければならないけどね」
 だったのだがその最後、ふと思い出したかの様に口を開いた布刀玉は先までの調子をすっかりと変え、皆に呼び掛けるも
「‥‥布刀玉」
「何、香香背」
「まだその表情をするには不謹慎だと思うの、気を付けてね?」
 久しく年相応の表情を覗かせた彼に香香背は苦笑こそ浮かべながら布刀玉に一応、釘を刺した。

(執筆:蘇芳防人、言の羽)



■サイドストーリー1(緑茂の里長、諌佐の場合)

●砦の夜
 砦の中に残り、諌佐は一人腕を組んだ。
 連戦により、砦に残った兵士達もまた、酷く疲れていた。理穴の中でも比較的健勝な兵士達を選抜したのだが、それでも体力的な限界は見え隠れしている。
 そんな状態で炎羅軍と一戦を交えようというのだから、戦う前から敗戦などわかりきっている。
 唯一の救いは、下さねばならぬ命令が死守令ではなく、退却を前提とした時間稼ぎである事だ。可能な限り時間を稼いだらば、後は、砦が包囲される前に退却すれば良いのだ。
「‥‥甚介。甚介はどこか」
 彼に呼ばれ、一人の若侍が、泥に汚れた頬を見せた。
「何用に御座いましょうか」
「どの程度立て篭もれるか、砦の状態を確認したい。報告を寄越させよ」
「はっ」
 小さく頭を下げ、彼は、そのままじっと動かなかった。
「どうした」
「‥‥鋳差殿、此度の作戦、やはり納得がいきません」
 彼の言葉に黙る鋳差。
 対する若侍も、失言でしたと立ち上がろうとするが、鋳差より思うところを申すよう促され、彼は、再び口を開いた。

「炎羅の軍勢を里へ招き入れれば、里は灰燼と帰すでしょう。幾ら王のたてられた作戦とはいえ、我々の、我々の生まれ育った里が‥‥」
 言葉を詰まらせ、俯く若侍。
 それ以上言葉が続かぬと見て、鋳差は、ゆっくりと立ち上がった。窓の傍らより里の方角を眺め、仙翁丸を招いた。止まり木より舞い、鋳差の掲げる腕に降り立つ白い鷹。
「もう直ぐ戦になる。お前は里に戻っておけ」
 腕を振るう。
 鷹は翼を開き、大きく夜空に舞い上がる。
 全開になっていた引き戸を閉じつつ、ゆっくりと振り返った。
「甚介、貴様の言う事はもっともだ。里は焼ける。全て燃えてしまおう」
 眼を伏せる鋳差。
「それでも、炎羅を倒す手立てがあると致せば、それしかない。魔の森が拡大すれば、遅かれ早かれ、里は魔の森に呑まれる。だが、炎羅を撃破すれば、潮の森が我々の手に戻ってくる‥‥あの森で遊んだ事は?」
「御座いません‥‥」
「そうか。潮の森が魔の森に呑まれたのは、貴様が物心付く前であったな‥‥あの森は良いぞ。仙翁丸も、あの森から連れ帰ったのだ」
 一度言葉を置き、彼は、伏せていた眼を開き、若侍へと向ける。
「里は、再び興せば良いのだ。だが森は、我らの手で作る事はできぬ。里の壊滅がどうしても悔しいと申すのであれば、これよりの戦は、森を手に入れる為の戦と心得よ」
「しかしっ」
「良いか」
 思わず口を差し挟む若侍を制止、続ける。
「いくさ場においては、未練は無用のものと心得よ。後ろを振り向くな。前だけを見て歩け。さもなくば、死に追いつかれるぞ」
 その言葉に、息を呑む。
 鋳差は再び眼を閉じると、床机に腰掛けた。我ながら饒舌なものだと、思わず口を歪めた。若侍にもう行くようにと促して、彼が部屋を出ようとした瞬間、その背に待てと呼び止めた。
「‥‥良い里にするぞ。前よりも、より素晴らしい里にだ。約束しよう」
 ぽかんと立ち尽くす若侍。
 再び行けと促され、彼は廊下を駆け出した。


●思惑
 少女は、慕容王はにやりと笑みを浮かべた。
「やはり始めたよったか」
 彼女の後ろには、報告に訪れた草が身を屈め、続く言葉を待っている。微動だにせぬその様子は、まるで置物のようですらあった。
「さて‥‥どうしたものかのう」
 暫し考えてから、背を逸らし、ついと顔を向ける。
 目元には、縦に走る傷。黒目は白く濁り、死しているようにも見える。が――彼女の片目はいったい、本当に見えておらぬのか、それとも見えておらぬように見せ掛けているだけなのか。いや、それどころか、その傷とて本物かどうか怪しいものだった。
 少女は、そんな眼をくりっと向けて、不機嫌そうな笑みを浮かべる。
「四家に伝令を走らせよ」
「如何様に」
「注意せよ、と」
「ハ」
 ずるずると後退し、閉じられる襖。部屋にひとり残されて、少女は煙管を取り出した。
 注意せよ――
 それ以上の言葉は不要だ。鈴鹿、名張、諏訪、北條。彼等上忍四流派を中心とする陰殻国は、複雑な力関係の上に成り立っている。頭領達は、慕容王より注意を促されれば、それだけで懸念するところを理解するであろう。
 要するに、「程々にしておけ」という事だ。
 それだけ伝えておけば、名張にせよ北條にせよ、利害を調整して冷徹に、現実的な折り合いをつけていくだろう。互いに争うたのは、利害が対立したが故の仕事上の衝突でしかなく、それ以上でも、それ以下でもない。
 感情や正義といった対立は持ち込まず、適当なところで手打ちをして、それでおしまい。任侠や博徒共のような外道の法と何ら変わらない。
 今回の戦とてそうだ。
 重要なのは、金。
 事務的に、冷静に。相互扶助の姿勢は、我々陰殻の共同体同士においてのみ向けられる。他の国や勢力に対し、伊達や矜持で協力してやる謂われは無い。例え、それが朝廷であったとしても、だ。
 そうやって生きてきたし、これからもそうやって生きていく。
 彼等の里は貧しい。そうで無ければ、生きていけぬほどに。

(執筆:御神楽)



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