近年、天儀でその姿を確認されている人影がある。 彼らはアヤカシと協力関係にあり、開拓者らと交戦したアヤカシなどの言葉から古代人と通称されてはいるが、彼らが何者であり、どのような目的を持っているのかは不明である。 未だその実態は謎に包まれている彼らであるが、ギルドに寄せられている報告から、以下のような特徴が挙げられる。 まず第一に、その身体的な特徴である。 多くの部分は我々と大差ないものの、例えば巨大な腕を取り付けているなど、身体的な改造を受けた者らが見受けられる。古代人と交戦した開拓者たちによれば、そうした改造がなされている構造はアヤカシに似ているという。 一方で、前述の通り、大部分の身体的構造は我々と大きく違わず、これこそが彼らの特徴でもある。もっとも、こうした共通点が確かなものであるのか、それとも人型アヤカシのように見かけ上似ているだけであるのかについては今後の報告を待たねばならない。 次に彼らの言動や考え、そしてその目的とするところである。 これまでに報告されたものを統合すると、彼らはアヤカシという存在に対し極めて融和的であり、アヤカシたちとは協力関係にある。実際、彼らは前回の東房北部における戦いにおいて、神代の巫女である穂邑の誘拐を手引きし、大アヤカシ「黄泉」に引き渡している。 また、過去においては大アヤカシ「生成姫」や危険な陰陽師である「神村菱儀」と接触していたと思しき情報もあり、世界の闇で暗躍していたことを伺わせる。 ただこれまではそのように密かに動いていた彼らが、ここに来て急に表立つことも厭わずに活動を活発化させた理由は解らない。 他に彼らの思想の一端が垣間見える部分として、護大に対する崇拝にも似た絶対視的な態度が見てとれる。当然ながら、護大をアヤカシの手から護り封じようとする我々に対しては概して敵対的である。 と同時に、彼らの言動からは我々に対する侮蔑的で見下した態度が顕にされており、敵対的であろうこと疑いようない。 彼らが何を目的としており、何の為にアヤカシに協力して天儀に敵対しているのか、現在のところは不明である。 いずれにせよ、我々の知りえない知識を有し、優れた術を以ってアヤカシに協力して暗躍する彼らの自由を許すことは儀とその平穏にとって極めて危険であることは間違いないであろう。 |