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■オープニング本文 神楽の都。 開拓者達が暮らす、天儀有数の都である。 天儀のみならず、遠くジルべリアや泰国、そしてアルカマルから来た者達も多い。 そして、ここからはるか異国へ向かう者も。 だから、神楽の都は、いつも賑わしい。 変わらぬ様子に、しばらくぶりに旅から帰った開拓者はふっと笑みを浮かべた。 「久しぶりだね、兄さん。今日は、少しのんびりできるんだろ?」 そんな客引きの声を適当にあしらいつつ、ぶらりぶらりと家路につけば、誰かの顔が頭に浮かんだ。笑みが少し深くなる。その脇を、やはり志体持ちの少女がつむじ風のように駆け抜けた。 「いい天気ね。今日は何を食べに行こうかな!」 元気に向かうのは、最初の開拓者が通り過ぎてきた一角だ。今日は楽しく買い食いするのだろう。別の一角では、威勢のいい掛け声が響いていた。道場の中で汗を流し、鍛練を重ねる戦装束の少年もまた、普段通りの日常を過ごしている。 「よっしゃあ! 一本取ったぞ、師匠!」 若々しい声の後に、豪快で楽しげな笑い声が続いたのを見れば、普段通りという訳ではなかったのかもしれない。誰かにとっては普段通りの日々、そして誰かにとっての特別な日。 「いいなぁ……」 腕を組み、街をゆく仲睦まじい恋人たちを、見送って微笑む少女がいる。その向こう、眉根を寄せたまま、ぶつぶつと独り言をつぶやく青年が早足で通り過ぎて行った。一人一人に思いがあり、今日と言う日を過ごしている。 「そうそう、青年老いやすく、学成り難し。命短し恋せよ乙女、今日と言う日は二度と来ないのだよ」 「……何ですか、突然に。さっさと仕事して下さい」 屋根の上でメガネの男がにへらと笑えば、隣から相棒らしき羽妖精の冷たい突っ込みが入った。 時が過ぎ、日が陰れば街中でも虫の音が響く季節。静かな夜は、ほんの少しだけ過去への扉が開きやすい。 「あの時、どうしていれば良かったんだろうな……」 縁側に腰掛けて己が手を見つめながら、言葉を漏らす男の背に、そっと誰かが毛布を掛ける。この街に暮らす開拓者の中には、過ぎし日の中で何かを失った者も多い。だがもちろん、彼らが思いを馳せる過去はつらいものばかりではない筈だ。 「これ、買ってくれて嬉しかったんだよ。ありがとうね!」 「それはこの間のお菓子のお礼だから。ふふ、またよろしくね」 大事に抱えたぬいぐるみを見せて、ニコニコと笑う少女へ、穏やかに頷く美女。2人は姉妹のような関係なのだろうか? 楽しい思いが重なって、今日の喜びもまたいつか思い出になるのかもしれない。 それは些細な一幕。 多くの開拓者が拠点として根を下ろし日々を暮らす、神楽の都の…日常。 あなたはこの日、何を思っていたのだろうか? そして、何をしていたのだろうか……? (OP文責:クラウドゲームス) |
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