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■インフォメーション いよいよ合戦本番! 完全無料でお送りする特別イベント、是非ご期待ください! 当ページは随時更新してまいりますので、定期的にご閲覧ください。 合戦は仮に他の依頼に参加していたとしても、誰でも、無料で参加できるイベントです。 数百キャラクターが参加し、描写されるこのイベントを是非お楽しみください。 ※行動入力はお陰様ですべて終了いたしました。 なお、一部アイテム授与は9月6日に反映が行われます。 次回合戦にご期待ください。 |
■エピローグ ここまでのOPは【こちら】をご参照下さい。 長い戦いが‥‥終わった。 長い、長い戦いだった。 死力を尽くし、持てる力を出し尽くし、精一杯の思いをぶつけて、今、この時を迎えている。 夕陽が斜に注ぐ中、橙の空の中に一条の光が真っ直ぐに伸びていた。光と見えるのは、厚い雲の中を裂いて伸びた道だからだ。道の両脇には高い雲の壁が彼方まで続き、あたかも大雪が作り出した壁の中を進むかのようである。 長い冬の終わりに拓ける道が指すのは、新たに始まる春の知らせ。春の歓びである。 そう。厳冬の季節は終わり‥‥。 希望の季節が。やって来る。 ●雲海の上で 「クソオヤジー! 見てるかぁーっ!」 嵐の門へ向け、叫ぶ。 撤収準備を進める「赤光」艦上、奈々介の声に、皆が驚き、振り向いた。 彼は甲板のへりへ足を掛け、上機嫌な様子で両手を掲げ、大声で騒いでいる。 「お疲れ、黒井さん‥‥っても、その様子じゃまだまだ元気が有り余ってる感じだな」 声に振り向く。 天ヶ瀬 焔騎(ia8250)が獲物を腰に、徳利を抱えていた。 「帰ったら、酒でも呑もうぜ」 「悪くないな」 「よし、なら決まりだ。先走って、一人であっちへ行ったりするなよ」 笑って、徳利を放る天ヶ瀬。 その酒を受け取って、空を見上げた。 「これで終わりかー‥‥いや、違う。これから、やな‥‥」 一度開いた道は閉じることが無い。 雲海の上では数多くの旗艦、騎龍が旋回していた。皆が遠巻きに見つめるのは激戦の末に開いた門の向こうである。勿論この位置から向こう側は見透かせない。早まって嵐の門へ飛び込んでも良いが、それは朝廷からの叱責を買うだろうし、何より、陸地のある場所まで龍の体力が持つかどうか解らないから、今は見守るのみである。 だが見つめる者達は誰もが感無量で、多くの死地や未だ癒えない傷、肩を並べて戦った仲間、敵が倒れた瞬間などを思い起こし、涙ぐむ者も少なくなかった。 「『明日』。やっと見えたね‥‥」 石動 神音(ib2662)が駿龍の背を労わるように撫でながら、弾んだ声を出す。 「センセー。神音、頑張ったよ‥‥」 「拓かれた光の道、委ねられた未来をボク達の手でようやく開く事が出来ましたね」 巳斗(ia0966)も、春風のような微笑を浮かべながらそれに応じた。 「未来へと続く道だと信じて、私たちは門を拓きました」 シエラ・ダグラス(ia4429)の金の髪が、光を浴びて強く輝く。その横顔には、強い意志を持ち続けた者だけが宿す陰陽があった。傍で飛んでいる者達も一様に頷く。 「しかし‥‥『人』とは、業の深い生き物ですね‥‥」 斜陽を浴び色濃くなる影を左半身に受けて。六条 雪巳(ia0179)が影を落とすようにそっと呟く。 「牌紋が何であるかを識る前に退けねばならぬとは。いずれ、あれが何かを知る時が来るでしょうか‥‥」 知らされぬまま、こうして歴史の中の一文として埋もれて行くのかもしれぬ。或いはこの道の先に‥‥答えがあるのかもしれず。 一同は、各々の想いを胸に抱きながらも道を見つめ続けていた。 ●渡月島で 時折、風に流された灰の雪が、未だ島にはらはらと降る。 相当な傷を負って全く動けずに居た菫(ia5258)の体にも、一欠がなごり雪のように落ちて留まった。 「心配‥‥したんだから‥‥」 その傍に佇むのは、『風世花団「白虎」』の面々。その半数以上がすぐには動けない深い傷を負っているが、皆、笑みを浮かべている。 「一時は本当に‥‥死んだのかと‥‥思って‥‥」 その手をぎゅっと握り、水野 清華(ib3296)が呟く。涙は見せない。だが1人残って敵の追撃の盾となった菫が、戻ってきた時には膝を付いたまま微動だにしないのを見つけた時は、胸が潰れるかと思った。一歩も退かず、死さえも厭わず。だが生きていた。傷が癒えるにはかなりの時間が掛かるだろう。喋る事さえも出来ないほどの状態で弱弱しく微笑む菫の姿に、皆は傷を負いながらも元気付けるような笑みを見せるのだ。 誰も、死ななかった。犠牲は出ずして彼らは勝った。そして明日への希望を繋いだのだ。 「ま‥‥、生きてて良かったわ。生きてなきゃ、明日の朝日だって見れないもの」 団長の鴇ノ宮 風葉(ia0799)が、夕陽を見上げるようにしながら皆と目を合わすでもなく、敢えてそっけなく言う。 「最後の最後で瓦解、とかにならなくて良かったですよね」 斎 朧(ia3446)も朗らかに後を継ぐ。 「さぁ。そろそろご飯にしましょう♪ 沢山作りましたからね」 ラヴィ(ia9738)が声を掛ける。既に鍋一杯の味噌汁、皿山盛りのお握りが出来上がって、島の一角に設置された卓袱台の上で皆に食されるのを今か今かと並んで待っていたのだが。 「あ〜、お腹空いた。芋羊羹食べよ、芋羊羹」 「えへへっ。芋羊羹っ♪」 「‥‥ご飯がいい‥‥」 「むしろそこの蛙を解体」 「ダメですからねっ!」 生きていると分かれば、腹も減る。穏やかに談笑も出来る。 あの道の向こうに何があるのだろう。 そんな事より、まずは地上の皆も夕食の時間なのである。 凄い勢いで四方八方から群がった人々によって、あっという間に完食となる。 「‥‥」 近寄ろうとして勢いに押され、お握りにさえありつけなかった天元 征四郎(iz0001)は、1人甲板に佇んでいる。それへとラヴィがこっそり残しておいたお握りを持って近付き、にっこり微笑んだ。 そうだ。戦いは終わったのだ。 この先に新たなる戦いが待ち受けていたとしても。 今は心身共に疲れを癒し、『明日』の為に活力を蓄える時期へと入ったのである。 渡月島に‥‥温泉でもあれば、何よりの癒しとなったのだろうが。 ●とある生 「春は‥‥来たのですね」 「今は真夏じゃがな。いやぁ、真夏の戦はまっこと暑いのぅ‥‥鎧を全部脱ぎ捨ててしまいたいくらいじゃ」 重装備姿ながらも涼しげな表情で、大伴定家はゆっくりと一三成へと近付いた。 旗艦『しらせ』も、この快挙に乗組員総出で大盛り上がりである。一刻も早く国に帰り良き報せを持って帰るべきなのだが、とりあえず早艇は出したしと門を眺めながら酒盛りまで始まっていた。 「どうじゃったかの。この結末は」 「‥‥不思議なものです」 夕陽が雲海の中へと沈んでいく。代わりに上る月の仄かな明かりを眺めながら、三成は欄干を握っている。 「私は死ぬものと‥‥それが当たり前の未来であると疑いもせず、ここへやって来ました。その私がこうして開いた門から伸びる道を見つめている‥‥私に、『道』が――」 「そうじゃのぉ」 「これから私は、どう生きれば良いのか‥‥何を目的として生きれば良いのか‥‥」 「見つければ良いのじゃよ。開拓者達も言っておったろう? 未来を見つければ良い、探す為に生きれば良い、とな」 「探す道‥‥」 「道を拓く開拓者らしい考え方じゃと思わんか? これからは、前を向いて歩けという事じゃよ」 かっかっと笑いながら、定家は手に持っていたお猪口を三成へと渡す。 「いえ、私は‥‥」 遠慮した三成の手に、強引に持たせた。 「‥‥」 押し黙る三成。 「こんなところにいたのね」 背後からの声に、はっとして振り向いた。 声の主は、千羽夜(ia7831)。リリア・ローラント(ib3628)も一緒だ。千羽夜は微笑を浮かべ甲板を指差した。 「皆、あちらで酒など酌み交わしながら宴を‥‥良ければ、一緒に如何でしょうか?」 「えっ」 突然の申し出に、戸惑いの表情を見せる。私などが行けば邪魔だろうと口ごもる三成の背を、くっと押す千羽夜。 「独り酒なんて許さないわよ? こうして出会えたんだもの、もうお友達だわ♪」 「‥‥けれど」 リリア・ローラントも三成の手を引く。 それと一緒に、手の中にお守りを握らせて、小さく頷く。 「ありがとう。けれどもう少しだけ、私たちに付き合ってください」 「これを断るは礼を失するのう」 大伴が髭を撫で、三成を見やった。 「新しい道を見つけた今回の事もそう。この旨い酒もそう。こうして明日を語らえる今日がある事もそうじゃ。生きようぞ、三成殿。そして明日の道を見るが良かろう。もう、短刀も消え失せた。担当など持って生きずとも良いのじゃからの」 無駄話が過ぎたか――と、定家は三成のお猪口に酒を注ぐ。それを受けて、三成は澄んだ液体の表面を見つめた。美しい月が入り込んで映し出した透明な光が、彼を見つめ返す。 「そうですね‥‥私も、いつか‥‥」 「行きましょう♪」 二人に促され、宴の方へと歩いていく三成。 生かされたこの命を持って、道を拓く事が出来るだろうか。 一息に飲んだ酒の味はどこか甘く、彼の心まで潤した。 (エピローグ担当 : 呉羽) |
■情報
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■NPCより
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