アヤカシは当初天儀の北東部一部のみに生息していたが、 既にその存在は世界中で観測されるに到っている。 形状は陰陽師の「アヤカシは本来姿を持たない」という言葉を借りるまでもなく、 我々と似通った姿をしたものから、凡そこの世のものとは思えない、異形の姿をしたものまで存在する。 知能レベルも上位種のものになるほど高くなり、人語を解する者もおり、 アヤカシの設置した罠に捕らえられた者などの例も、少数ながら存在する。 また、魔の森の奥へと進めば『大アヤカシ』と称される、身の丈が50尺(約15m)はあろうかと思われるものも存在し、 一国の軍隊に足る実力を持っている者も存在する。 過去に幾度も魔の森の焼討ちが計画されながら、うまくいっていない部分もここにある。 言い方を変えるならば、既にアヤカシは「殲滅」から「いかにして被害を受けないか」に、我々はもとより、指導者の考え方すら変わってきたといえよう。 |
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天儀の世界において、アヤカシの力を借り、『式』と呼ばれるものを召還する特殊技能を持った者のことを陰陽師と称する。 陰陽師のことをよくご存知でない方であれば、 アヤカシと出会った陰陽師が、さもケモノかなにかを付き従えるように、自らの従者にする姿を想像するかもしれないが、 基本的に陰陽師は実体化していない瘴気を式札と呼ばれる道具を使って構築し 自らの思う姿のアヤカシに似たものを作り上げることができる存在であり、魔の森から湧き出してきたものを従えることができるわけではない。 したがって、陰陽師にとってアヤカシとは、付き従えるべき従者でありつつ、自らも命を狙われる敵でもあるわけである。 また、もうひとつの側面としてアヤカシは陰陽師にとって研究材料にもなる。 陰陽師の氏族ができたのは極めて最近であり、ほかの氏族に比べて技術体系が確立されているとはいえない。また、アヤカシは日々我らが成長すると共にその力をつけ、新たな特殊能力を身につける者も存在する。 陰陽師にとってそういった強力な力を持ったアヤカシは、新たな式を作り出すための格好の研究材料なのである。 陰陽師の氏族の中には、そういった新たな式の開発に専従するものもいるといわれている。 |
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